【RPE】★安倍総理は訪中時どうふるまうべきか?
RPE Journal==============================================
ロシア政治経済ジャーナル No.1859
2018/10/7
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★安倍総理は訪中時どうふるまうべきか?
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
私が非常に尊敬するYさまから、こんなメールをいただきました。
<北野様
いつも勉強させて頂いています。
ご指摘のような背景で今安倍首相が訪中することをどう思われますか?
私は本来は行くべきではないと思いますが、行かざるを得ないなら「反日教育や海外での反日プロパガンダ活動を止めない限りは友好は有り得ない」と明言すべきだと思ってます。
ここはアメリカ側であることを旗色鮮明にしなければならない状況ではないでしょうか?
安倍首相の訪中についてお考えをお知らせ頂けますか?>
お答えします。
▼なぜ訪中時、中国と対立するのはまずいのか?
まず、
<ご指摘のような背景で今安倍首相が訪中することをどう思われますか?>
の「ご指摘のような背景」とは、トランプが、「習近平は、もう友達ではない!」といい、米中関係が非常に悪化しているという「背景」です。
<ご指摘のような背景で今安倍首相が訪中することをどう思われますか?>
確かに、行かなくてもいいのであれば、行かくてもいいでしょう。
<行かざるを得ないなら「反日教育や海外での反日プロパガンダ活動を止めない限りは友好は有り得ない」と明言すべきだと思ってます。
ここはアメリカ側であることを旗色鮮明にしなければならない状況ではないでしょうか?>
安倍総理は、中国に行き、「反日教育やめろ!」「反日プロパガンダやめろ!」「やめなければ友好はありえない!」といえと。
そして、「日本は、アメリカの味方だ!」といえと。
これについて、私は、反対です。
理由ですが、
1、「反日教育やめろ!」といえば、「日本軍は中国大陸で何千万人も殺したことを忘れたのか!」と逆ギレされるでしょう。
ロシアのラブロフ外相が中国側にたって参戦する。
ついで、アメリカ・リベラルが、「日本の軍国主義が復活している!」とさわぎはじめる。
さらに親中、反日のドイツが、欧州の世論を反日にすることでしょう。
2、「反日プロパンダをやめろ!」といえば、習は「わが国は反日プロパガンダなどしていない。慰安婦問題の犠牲者である韓国が『自発的にやっている』のだろう」などとシラをきることでしょう。
日中関係については、中国が「尖閣はわが国固有の領土で核心的利益である!」と宣言している。
さらに、「日本には沖縄の領有権もない!」と宣言している。
順序でいうと、「まず尖閣」「次に沖縄」です。
今まで、「尖閣が危なかったこと」が二回ありました。
漁船衝突事件があった2010年と、尖閣国有化があった2012年です。
どちらの場合も、人民解放軍は、「尖閣侵攻」の準備をしていました。
私は、特に親中ではありませんが、わざわざ2010年、2012年の関係に逆戻りさせる必要はないと考えます。
4、日中関係悪化で、日本側の被害も大きい
中国は、なんやかんやいっても世界第2位の経済大国です。
(統計は、インチキみたいですが。)
日本側にも、中国貿易で、中国への投資で儲けている人、企業がたくさんいる。
2010年、2012年のような状況になれば、日本側の被害も大きいのです。
当時を思いだしてみてください。
ここまでは、日中関係から、「わざわざ関係を険悪にする必要はない」という話でした。
ここから「アメリカ」もからめます。
5、トランプは、コロコロ変わる
思いだしてください。
トランプさんは、大統領になる前の2016年、反中でした。
ところが、大統領になった2017年の4月、習近平と会って、ガラリと態度が変わった。
以後、「私は、習近平が大好きだ!」と公言し、しばらく米中関係は、非常によかったのです。
しかし、2018年になると、米中貿易戦争を開始し、習について、「もう私の友達ではない!」と宣言している。
要するに、彼の意見は、コロコロ変わります。
金正恩について思いだしてください。
2017年は、「チビデブロケットマン」と呼んでいた。
ところが2018年の今、「私は、金正恩と恋におちた!」と何度もいっています。
習との関係、今は確かに最悪ですが、来年は「親友」に逆戻りしているかもしれない。
ですから、トランプが「今」反中国、反習近平だからといって、中国バッシングをするのは、「慌てすぎ」だと思います。
日本が強気で中国をバッシングし、来年米中関係がよくなったら?
左派の人がよくいうように、「アメリカは、梯子を外す」かもしれません。
そうなると、日本は、アメリカなしで中国と対峙することになる。
尖閣は、奪われるでしょう。
6、日本が強気の反中だと、アメリカは「バックパッシング」したくなる
アメリカに限らず、大国は「自分で戦うこと」を好みません。
で、どうするか?
「手下」を使って、ロシアにぶつけるわけです。
たとえば08年8月、ロシアーグルジア戦争が起こりました。
当時、グルジア(現ジョージア)の大統領は、アメリカ傀儡サアカシビリさんだった。
彼が戦争をしたせいで、グルジアは、アプハジアと南オセチアを失いました。
2014年2月、ウクライナで革命が起こり、親米反ロシア政権が誕生した。
ロシアは3月、クリミアを奪い、ウクライナ内戦がはじまった。
アメリカは、傀儡ウクライナ政権がクリミアを奪われたとき、クリミア奪回には動いてくれませんでした。
「バックパッシング」とは、「自分で敵国と戦わず、他国を敵国と戦わせること」をいいます。
ジョージアはアプハジア、南オセチアを、ウクライナは、クリミア、ルガンスク、ドネツクをそれぞれ失った。
日本が、アメリカを見習って、中国バッシングをはじめた。
アメリカは、「いいぞいいぞ!どんどんやれ!」となり、日本を「駒」として使いたくなるでしょう。
戦略的に、こういう位置に立たされることは避けた方がいい。
ですから、日本は、中国に対してもアグレッシブであってはなりません。
▼訪中時の注意
<ここはアメリカ側であることを旗色鮮明にしなければならない状況ではないでしょうか?>
前号でも書きました。
日本は現在、「二匹のトラ(アメリカ、中国)の戦いを山頂で眺める」非常にいいポジションにいる。
しかし、二匹のトラから、「おまえは、どっちの味方なんだ!?」と迫られることがある。
その時は、迷うことなく、「アメリカタイガーの味方でございます!」と宣言しなければならない。
「政府の人は、毎日練習してください」という話でした。
実際、米中貿易戦争は、トータル戦争、覇権争奪戦に転化しています。
(詳細はこちら↓
https://diamond.jp/articles/-/181165
(●スマホ、携帯で読めない場合、PCでお試しください。)
ですから、安倍総理は、訪中したことで、トランプさんから「シンゾーは裏切り者だ!」と思われないよう、細心の注意が必要です。
具体的にどう動けばいいのでしょうか?
1、訪中直前に、トランプに電話する
「中国にいって、こんな話をしてきます」と。
2、訪中時、決してトランプを批判しない
中国政府高官も中国メディアも、安倍総理を「トランプ批判」に「誘導」することでしょう。
誘いにのって、うっかりトランプ批判をしないよう、要注意です。
貿易戦争について尋ねられたら、
「世界1、2位の経済大国が貿易戦争をすることは、世界経済にとって大変なリスクです。
両国の対立は、日本にとってもマイナスですので、円満に解決されることを望んでいます」
などと、答えておきましょう。
3、訪中時は、中国をほめよう
「今年は、日中平和友好条約発効から40年を迎える記念すベき年であります。
この40年間、中国は急成長をつづけ、いまや世界2位の大国になりました。
本当にすごいことだと思います。
日中両国は、一時期を除いて、ほとんどの期間、友好的な関係にありました。
今後も、両国関係が、良好なものであることを願い、そうであるように、最善の努力をつづけてまいります」
などと、いっておけばいいでしょう。
4、戻ってきたら、すぐトランプさんに電話しよう
以前も書きました。
もしあなたと奥さんの関係が良好であれば、あなたが仕事で他の女性とあっても問題にならないでしょう。
しかし、他の女性との関係が、「奥さん以上」になれば、人生でいろいろ大問題が起こってきます。
日米は、「軍事同盟国」なので、いってみれば夫婦のようなものです。
日米関係が強固であれば、とりあえず中国は尖閣に侵攻できません。
ところが、「やっぱ中国の方がいいわ」という総理もいるのですね。
田中角栄さんについては、「生まれてなかった」という読者さんも多いでしょう。
しかし、鳩山さんについては、記憶に新しいですね。
安倍総理が、
アメリカ >>> 中国
であることを、一時も忘れませんように。
〜〜〜
日中関係、2012年と比べると、だいぶマシになりました。
2012年、中国は、日本を破滅させる戦略を発動していたのです。
安倍総理は、この戦略を知恵で無力化することに成功しました。
「どうやって?」
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