マクロン「中国に甘い考え抱く時代終わった」

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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。

 

 

では、本題。

第2次大戦前、西欧の大国は揺れていました。

ヒトラーの動きにどう対処するか悩んでいたのです。

ある人は、こう考えました。「ヒトラーのドイツが強くなっても問題ない。彼は、共産ソ連の侵略を防ぐ防波堤になってくれるだろう」

一方で、ヒトラーの本性を見抜き、「彼は危険すぎる!いまのうちにつぶしてしまわなければならない!」と主張する人たちもいました。(例、チャーチル


今、欧州は、100万人のウイグル人強制収容所にぶちこんでいる中国とどうつきあうかで割れています。


イタリアのように、チャイナマネー欲しさに、習近平に接近する国がある。

しかし、大勢は、右往左往しながらも、徐々に反中の方向にむかっているようです。

 

▼悩む欧州

 

産経新聞3月23日付を見てみましょう。

 

欧州連合(EU)の加盟国は22日、ブリュッセルで行われた首脳会議で、経済・政治的な影響力を増大させる中国への新たな戦略を協議し、貿易の不均衡是正などに向け
た対応を進めることで一致した。EUのユンケル欧州委員長は「中国はパートナーと同時にライバル。この状況に適応せねばならない」と述べた。首脳会議の声明によると、中国対応を念頭に、EUの行政執行機関の欧州委員会は年末までに域内市場を歪ませる国有企業や国家補助への対処をまとめる。政府調達分野での互恵的な市場開放を求め、第5世代(5G)移動通信システム整備での安全保障確保のため、共通の対策もとる。>

 

ようやくEUも、少しアメリカ的な対応になってきたようです。

 

<欧州では近年、不公正な中国市場への不満や中国による欧州企業の買収などへの警戒が高まっている。5G整備では米国が中国通信大手の華為技術(ファーウェイ)の排除を求めるが、加盟国には温度差もあり、対応は一様ではない。このため欧州委は先立つ12日、中国をパートナーであると同時に「競争相手」と位置づけ具体的な行動を盛り込んだ10項目の「戦略見解」を公表。首脳会議が議論の土台とした。

フランスのマクロン大統領は22日、「欧州が(中国に)甘い考えを抱く時代は終わった」と強調した。>(同上)

 

マクロンさん、「欧州が、(中国に)甘い考えを抱く時代は終わった」そうです。

ただ、すべての国がそう考えているわけではないのですね。 


<ただ、中国との経済関係を重視する加盟国も多く、EUの結束維持は難しい。首脳会議ではイタリアの巨大経済圏構想「一帯一路」の覚書署名についても意見が交わされ、ドイツのメルケル首相は「差し当たり批判しないが、協調対応の方がはるかによいと、私らはこれまでに話し合ってきた」と不満をにじませた。>(同上)

 

イタリアは、中国と「一帯一路」の覚書を交わした。

 

▼それでも、流れは反中にむかう

 

既述のように中国は、「100万人のウイグル人強制収容所に入れている!」と国連から非難されている「超人権侵害国家」です。


しかし、世界一人権重視のはずの欧州は、あまり中国を批判しない。

なぜ?

唯一の理由は、「チャイナ・マネーが欲しいから」です。

これ、日本も欧州を批判できません。

中国は、今も昔も人権侵害国家でした。

しかし、90年代、2000年代、日本企業は、大挙して中国に生産拠点を移した。

「人件費が何十分の1になる」、つまり「金の魅力に勝てなかった」のです。

進出する際、「人権がな〜」などと考えもしなかったでしょう。


そう、「金がたっぷりある」「金儲けになる」人権侵害国家とつきあいたい国も会社も山ほどあるのです。


ところが、中国経済は、これから悪くなる一方です。


「国家ライフサイクル」でそうなっている。

中国のライフサイクルは、2020年までが「成長期の後期」。

その後は、低成長の成熟期に入ります。

それに、長年の一人っ子政策の結果、日本よりひどい「少子化問題」が襲ってくる。

これについて私は、05年出版の「ボロボロになった覇権国家」からず〜〜〜〜と同じことをいっています。

この本では、「08年〜10年に危機が訪れるが、中国は短期間で危機を乗り切る。しかし、成長は2020年まで」と書いてあります。


そう、米中覇権戦争がはじまらなくても、中国経済の繁栄は終わる方向なのです。

ところが、米中覇権戦争がはじまって、悪化の速度が加速しています。


というわけで、イタリアが当てにしている「チャイナ・マネー」は、今後無くなっていく方向なのです。


金のある人権侵害国家とつきあいたい国は、多い。

しかし、金のない人権侵害国家は、ただの人権侵害国家です。

金のない人権侵害国家とつきあいたい国はいないのです。


日本が、唯一の例外にならないよう、気をつけなければいけません。

日本は、先の大戦で、愚かにもヒトラー側について完敗しました。

今回も、中国側について完敗しないよう、気をつけましょう。

 

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