なぜ米朝会談は【大成功】といえるのか?

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会談が行われたハノイ

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。

 

皆さんご存知と思いますが、

トランプさんと金正恩は2月27日、28日、ベトナムハノイで会談しました。

これも皆さんご存知と思いますが、合意には達しなかったのですね。

なぜ?


トランプさんは、解説しています。

BuzzFeed JAPAN 2/28から。


トランプ大統領の発言要旨>

アメリカが望んだ非核化についてある程度は認める用意があったようだが、我々が求めているレベルではなかった。

北朝鮮は完全な経済制裁の解除を求めてきたが、アメリカはそれに応じることはできない。我々は何も譲歩していない。

寧辺の核施設の廃棄だけでは十分ではない。アメリカはより多くを求めている。アメリカとしては制裁を解除したいという気持ちはあるが、そのために今回の条件は飲めな
かった。>

 

というわけで、「交渉決裂」となったのです。

2018年6月12日に、初の米朝首脳会談が行われた時、ほとんどすべての人が「完全な失敗だ!」と宣言していました。

なぜかというと、「CVID」(=Complete, Verifiable, and Irreversib
le Denuclearization、完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄)の約束を得ることができず、非核化までの具体的スケジュールも決まらなかったからです。


しかし、私は、「そんなもん一度の会談で決まるはずがなく、会談は成功だ」と書きました。

(たとえばこちら。↓
https://diamond.jp/articles/-/172371  )


この後、北朝鮮は、核実験もミサイル実験も止めました。

安倍総理がトランプさんを「ノーベル平和賞に推薦した理由」だとされていますが。

実際2017年は、核実験、ミサイル実験で、戦争の危機に怯えていた。

しかし、2018年6月の米朝首脳会談後は、皆心穏やかに眠れるようになったのです。

 

米朝、それぞれの思惑

 

一体、トランプと金は何を望んでいるのでしょうか?


トランプさんは、いうまでもなく「完全な非核化」です。

過去を振り返ると、アメリカ大統領は、北にだまされてきました。

1994年、北朝鮮は「核開発凍結」を確約し、見返りに軽水炉、食料、毎年50万トンの重油を受け取った。

しかし、彼らは密かに核開発を継続していた。

2005年9月、金正恩の父・正日は、「6ヵ国共同宣言」で「核兵器放棄」を宣言。

しかし、現状を見れば、それもウソだったことは明らか。


これらの例から、アメリカは、「完全な非核化がなるまで制裁を解除してはならない」ことを学んだ。


それで、トランプさんはいいます。


<・アメリカが望んだ非核化についてある程度は認める用意があったようだが、我々が求めているレベルではなかった。

北朝鮮は完全な経済制裁の解除を求めてきたが、アメリカはそれに応じることはできない。我々は何も譲歩していない。>


つまり「少し非核化するから制裁解除してよ!」という過去のやり方は通用しないよと。


では、金の思惑は?

金は、リビアカダフィの例を知っています。

カダフィは03年、核開発を止め、欧米と和解しました。

ところが11年、欧米が支援する反体制派に捕まり惨殺された。


そう、金は「核を放棄したら、カダフィのようにいずれ殺される」と思っている。

だから彼の作戦は、「段階的非核化」なのです。


つまり、少し非核化、少し制裁解除。

また少し非核化、また少し制裁解除。


「いや、ていうか、北は、『少し非核化』して、『完全な制裁解除』を主張したのでは?」


と思いますね。

トランプさんが、そういっています。

しかし、北はこう主張しています。

 

北朝鮮外相、米主張を否定 首脳会談巡り異例の会見

3/1(金) 5:13配信

ハノイ共同】北朝鮮の李容浩外相は1日未明、ベトナムハノイのホテルで記者会見を開いた。

事実上決裂した前日の米朝首脳再会談について、北朝鮮側は寧辺の核施設廃棄と引き換えに国連制裁の一部を解除するよう現実的提案をしたと主張。制裁の全面解除を要求したとのトランプ米大統領の説明を否定した。>

 

北が主張したのは、「全面解除」じゃなくて、「一部解除だ」と。

これ、どっちがホントのことをいっているかわかりませんが。

まあ、どっちでもいい。

 

実をいうと、「一部解除」も「全面解除」も、そう大差ない。

今、北朝鮮は、中国とロシアからの支援でなんとかサバイバルしています。

しかし、それは国連安保理の「制裁違反」なので、「大っぴら」にできないし、「大々的」にもできない。

これが「一部解除」となったらどうなります?

中国とロシアは、「合法的」に支援ができるので、歯止めをかけるのが難しくなる。


北朝鮮は核を保有したままで、経済は息を吹き返すことでしょう。


というわけで、トランプさんは、金の作戦にひっかからなかった。

 

▼これからどうなる?

 

まず、金は、核実験、ミサイル実験を再開できないでしょう。

再開すれば、アメリカは、「努力したが彼には非核化の意志がなかったようだ」

として、北を攻撃することでしょう。


では、トランプのいうように、「完全非核化」する?

カダフィの例を知っている金にとって、これは大変なリスクですね。

なかなか決断できないでしょう。

中国とロシアも、「アメリカを決して信用するな!」と説得するはずです。


結局、制裁が継続され、北朝鮮はジリ貧になっていく。

そして、体制崩壊に向かう?


トランプさんが、「長期兵糧攻め」を決断しているのは、実にすばらしいことです。


金は、戦争が怖いので、核実験、ミサイル実験を行うことができない。

一方で、「殺される」のが怖くて完全非核化もできない。


彼は、これからも「どうやってアメリカをだまそうか」と思案するでしょうが、なかなかうまくいかないと思います。


世界中の人々が、また「今回の会談は失敗だった」と批判するかもしれません。

しかし、トランプさんは、金の姑息な作戦「少し非核化して、制裁を解除してもらう」

に乗らなかったので、大成功といっていいのです。

日本もアメリカも何も困っていない。

困っているのは、「行く道のない」金正恩です。

 

 

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