38.行者一身の宝塔

 南無妙法蓮華経と唱えることは、あらゆる五千・七千の経典のなかで、最上・最高である法華経の意義と功徳を直ちに我が身に呼び顕すことである。法華経の会座に出現されて、妙法蓮華経の皆是真実を証明された多宝如来の宝塔も、その悟りの妙法が色法として現れ、涌現の宝塔となったのである。この宝塔は地・水・火・風・空の所成であり、妙法の功徳によってこの五大が、色法の最上の尊形である宝塔の形として現れたのである。法華経の行者の一身も地・水・火・風・空の五大、すなわち妙法蓮華経であり、妙法を受持するところ、色法において最上・最尊の宝塔の功徳を成ずる。故に、修行者の一身は直ちに宝塔となり、その心地の内証において、あらゆる罪業の苦悩を離れ、おのずから清浄安楽となる善業が成就する。これは、行者が題目を唱えるとき、法華経の根本精神と一体となり、その内証が即身成仏するためである。したがって、唱題のところ、無量の功徳があるとの信力をもって題目を唱えることが肝要である。

 

三大秘法義

三大秘法義